記事作成日:2019年9月7日

防犯対策の一つとして、大事なのが玄関の鍵(錠)。近年、ピッキングの手口に弱い「ディスクシリンダー」と呼ばれるギザギザした鍵は、敬遠される傾向があり、専門店で相談するとピッキング対策に強い鍵を勧められることが多いでしょう。また、ドアに2つ以上の鍵を付ける「1ドア2ロック(ワンドアツ―ロック)」も防犯に効果があると言われています。そこで、今回はピッキング防止鍵と普通の鍵を2つ取り付けるのとでは、どちらの防犯効果が高いのか解説します。

玄関の空き巣防止に効果的な対策

防犯を考えるうえで最も大事なのは、「狙われない」こと。そして、「諦めさせる」対策が効果的です。

空き巣に玄関から入られないようにするためには、空き巣が鍵を開けるまでにかかる時間をできるだけ長くする、つまり「諦めさせる」対策をすることが重要です。犯人が鍵を開けるまでに時間がかかると、周りが気付く可能性も高くなり、被害防止につながるでしょう。

ピッキング防止鍵

閉まっている鍵を開ける方法の一つとして、ピッキングという手法があります。昔ながらのギザギザした鍵「ディスクシリンダー」であれば、一瞬のうちに大きな音を立てずに開けることができ、一時期多くの犯罪に利用されました。

その後、ピッキング防止鍵として「ディンプルキー」と呼ばれる表面に大きさの異なるくぼみが複数ついているものが広まってきています。ピッキングは、鍵のギザギザを上手く利用して開けていますので、それがないディンプルキーはピッキングしにくく、開けるまでに時間がかかります。

また、「マグネットタンブラーシリンダーキー」という鍵もピッキング対策にはとても効果的です。鍵と、鍵を差し込むタンブラーの両方に磁石が付いており、この磁石が完全に一致することで開けることが可能です。ピッキングではこの磁石を再現できないため、防犯性能は非常に高いです。コインロッカーやスーツケースなどにも使用されています。

このように複雑な形状や仕組みを作ることで、ピッキングに対して大きな効果を発揮します。

普通の鍵を2つ

1つの玄関ドアに対して2つの鍵を設置する方法も有効です。鍵が1つよりは、2つの方が開けるのに時間がかかります。また2つ鍵を付けることで、防犯意識が高いことが外から見て分かるため、狙われにくくなります。

加えて、ピッキング以外に鍵を無理やり壊して侵入するような場合も、鍵が2箇所に分かれていれば壊さないといけない鍵が2つになるため、高い防犯効果を発揮します。

ピッキング防止鍵と普通の鍵を2つ付けるのとではどちらが有効か?

ピッキング防止鍵と普通の鍵を2つ付けるのとでは、どちらが有効でしょうか。

空き巣によるピッキングを防止するためには、ピッキング防止鍵の中でも、マグネットタンブラーシリンダー錠が有効です。現在のピッキング器具ではほとんど開けることはできません。次に有効なのは、ディンプルキーです。こちらも普通の鍵を2つ開けるよりも長い時間がかかりますので、効果的です。

一方で、鍵を外部から強制的に破壊する場合には鍵を開ける仕組みがピッキングに強くても効果はありません。その場合には、普通の鍵であっても2つ付いていれば時間がかかりますし、壊す際に大きな音も出ますので有効といえます。

事情が許すのであれば、ピッキング防止鍵を2つ取り付けるといいでしょう。

賃貸住宅は契約前に確認

自分の家であれば、予算さえあれば玄関の鍵を交換するのは自由ですが賃貸住宅ではそう簡単にはいきません。居住し始めてから変更したい場合には、管理会社やオーナーに確認し、許可を得る必要があるため手間がかかってしまいます。

可能ならば、物件を契約する前に玄関の鍵がどのようなタイプになっているのかを確認するのがおすすめです。物件の立地や間取り、金額などとバランスを取るのは難しいですが、安心と安全は何物にも代えがたいので、優先順位を決めてご相談してみてください。

玄関ドアの防犯対策が重要

最後に、自宅の防犯を考えるうえで、なぜ玄関ドアの防犯対策が重要なのかを統計データから確認していきましょう。

警察庁の調査によると、平成30年のデータにおいて侵入窃盗の侵入口として、窓に次いで2番目に多いのが玄関です。特にマンションやアパートなどの共同住宅で、さらに4階以上の高層階の場合には窓から侵入することが困難なので、玄関からの侵入が50%以上を占めています。できる対策をしておきたいですね。

まとめ

自宅の防犯対策を高めるために玄関からの侵入を防ぐ対策をすることは重要です。簡単に開けられない鍵を設置するのは有効な手段で、ピッキング防止鍵も普通の鍵を2つつけるのも効果的です。

近所付き合いがあったり人通りが多かったりする場合には、音が大きい鍵の破壊が考えにくいため、静かなピッキングを防止するピッキング防止鍵がおすすめです。一方で、人通りが少なく、多少音がしても周囲が気にしないような環境では、鍵を壊される可能性もあるため、2つの鍵を付けるのがおすすめです。

自宅の状況に合わせた玄関鍵を選択し、大事な家族や財産を空き巣から守りましょう。